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── 未来を耕す園庭で
卒園式が終わり、園庭には春の光が差し込んでいました。
亜紀の復帰から始まった小さな挑戦は、園全体の新しい働き方へと広がっていきます。
卒園式が終わり、園庭の桜が一気に花を開いた。
子どもたちの笑い声が消えた園舎は、いつもより広く、少しだけ静かだった。
掲示板の前に立つ石井亜紀は、貼り出された一枚の紙を見つめていた。
【週2・週3保育士制度 導入のお知らせ】
園長の高梨美穂が隣に立ち、小さく息を吐いた。
「ようやく形にできたね。」
「……はい。」
亜紀の返事は、少しだけ震えていた。
8年前に手放した“先生”という名前。
それをもう一度呼んでもらえる場所を、少しずつ、みんなで作ることができた。
そのことが、ただ嬉しかった。
「でも、ここからが本番だね。」
美穂が笑って言うと、後ろから陽菜が小さく手を振った。
「池元さんと津森先生も来てますよ。この後、保護者向けの説明会、隣の地域センターでやるそうです。」
園庭の奥で、池元南が保護者と話している姿が見えた。
その横には、スーツ姿の津森真彦の姿もある。
あのとき、美穂が「もっと誰かに手伝ってほしい」と思ったこと。
亜紀が「もう一度戻ってもいいのかな」と迷ったこと。
陽菜が「週2で大丈夫なのか」と不安を口にしたこと。
その一つひとつが、こうして誰かの働き方を変える種になっていた。
「亜紀さん、行こうか。」
「はい。」
掲示板に貼られた“週2・週3”の文字が、春の光に揺れている。
週に2日でも、呼ばれる名前がある。
週に3日でも、誰かの笑顔を守れる。
働き方は、ひとつではない。
そして、保育の未来も、ひとつではない。
未来を耕す園庭は、まだまだ広がっていく。
小さな足音と、大人たちの足音が混ざり合い、新しい季節がまた始まろうとしていた。
この物語の舞台裏で動いていた、キャリアと制度の物語。
「週2正社員」を支える仕組みについて、もう少しだけ振り返ります。