働く人にも、企業にも、新しい選択肢を。
週2正社員とは?
短い時間でも、正社員として働く選択肢
「週5日は働けない。でも、経験やスキルを活かして働き続けたい」
「フルタイム1人分の仕事量はない。でも、会社の一員として継続的に関わってほしい」
そんな働く人と企業をつなぐのが、私たちが提案する「週2正社員」です。
週2正社員は、働く時間を短くしながら、正社員として会社に関わる働き方です。
基本となるのは「短時間正社員」という仕組み。私たちは、その働き方を身近に感じてもらうために「週2正社員」と呼んでいます。
必ず週2日でなければならないわけではありません。週3日働く、1日の勤務時間を短くするなど、本人の事情と会社の仕事に合わせて考えます。
正社員は、週5日・1日8時間でなければいけない?
正社員と聞くと、「週5日、1日8時間働く人」を思い浮かべるかもしれません。しかし、働く時間を短くした正社員という選択肢もあります。子育てや介護、自分の事業、学び直しなどと両立しながら、会社の一員として働き続けることを考えられます。
大切にしたいのは、長い時間働けるかどうかだけで、人の能力や会社との関わり方を決めないこと。働ける時間は短くても、経験や専門性を活かし、会社の成長を一緒に考えることはできます。
パート・アルバイトとは何が違う?
違いは、勤務日数や呼び名だけではわかりません。雇用契約の期間、待遇の決め方、社内での位置づけを確認する必要があります。パート・アルバイトにも、期間の定めのない契約で働く人や、社会保険に加入する人はいます。
厚生労働省の通知で示される短時間正社員は、フルタイムの正社員より所定労働時間が短く、無期の労働契約を結び、時間当たりの基本給や賞与・退職金等の算定方法が、同じ事業所の同種のフルタイム正社員と同等である人です。単に「正社員」という名前を付けるのではなく、契約と待遇、実際の働き方を整えることが必要です。
「週20時間未満だから社会保険に入れない」とは限りません
週2正社員について相談すると、「週20時間以上でないと社会保険に入れない」「通常の労働者の4分の3以上働く必要がある」と言われることがあります。しかし、その基準だけで短時間正社員の加入可否を判断すると、短時間正社員について示された取扱いが抜け落ちてしまいます。
一定の条件を満たした場合に「加入しなければならない」という基準と、その基準に届かなければ一律に「加入できない」ということは、同じではありません。
4分の3基準や、週20時間以上などの要件による短時間労働者への適用に加え、短時間正社員についての取扱いも確認する必要があります。時間や日数だけで結論を出さず、雇用契約や待遇、就労実態を確認することが大切です。
もちろん、希望すれば誰でも自由に加入できるという意味ではありません。短時間正社員として必要な条件を満たしているかを確認します。なお、ここで扱う健康保険・厚生年金と、雇用保険の加入要件は別に確認する必要があります。
参考:厚生労働省・短時間労働者への適用拡大に関するQ&A/短時間正社員の健康保険の取扱いは、次の通知をご参照ください。
健康保険の取扱いは、厚生労働省の通知に示されています
平成21年6月30日付の保保発第0630001号「短時間正社員に係る健康保険の適用について」では、次の条件を満たす場合、健康保険の被保険者として取り扱うことが示されています。
- 短時間正社員の規定があること労働契約・就業規則・給与規程等に、短時間正社員に関する規定がある。
- 無期の労働契約であること期間の定めのない労働契約を結んでいる。
- 待遇の基準が同等で、就労実態も規程に沿っていること時間当たりの基本給や賞与・退職金等の算定方法が、同じ事業所の同種のフルタイム正社員と同等であり、実際の働き方も規程に沿っている。
ここでいう「同等」は、勤務時間が違っても月給や賞与の総額を同じにするという意味ではありません。時間当たりの基本給や、賞与・退職金等を計算する方法についての話です。また、就業規則を作るだけではなく、雇用契約や実際の働き方も含めて整える必要があります。
働く人には、どんな選択肢が広がる?
子育て・介護と仕事を両立する
週5日の勤務が難しくても、日数や時間を調整できれば、経験を活かし続けられるかもしれません。「今の働き方を続けるか、退職するか」の間に、もう一つの選択肢が生まれます。
フリーランス・起業準備と組み合わせる
会社で継続的に仕事をしながら、別の時間で自分の事業や新しい挑戦に取り組む。会社とのつながりと、自分の活動の両方を持つ働き方も考えられます。
経験を活かして無理のないペースで働く
年齢や体力、暮らしの変化に合わせて勤務時間を見直し、培ってきた知識や技術を次の世代へ伝える。働き続けることと、自分の時間を持つことを両立する考え方です。
複数の会社で専門性を活かす
一つの会社に限らず、複数の会社と雇用契約を結ぶ「複業」も選択肢です。掛け持ちする場合は、勤務先間の労働時間管理や社会保険の手続き等を確認して進めます。
いずれの場合も、勤務時間に応じた収入や保険料負担、担当する仕事を確認し、自分の生活に合う形を考えることが大切です。
企業にとっては、採用と雇用継続の選択肢になります
フルタイム1人分ではない仕事に、専門性のある人を迎える
経理、広報、Web運用、デザインなど、仕事は必要でも、毎日8時間分あるとは限りません。必要な仕事量と勤務時間を合わせることで、採用の可能性を広げられます。
退職する前に、働き続けられる方法を考える
子育てや介護などでフルタイム勤務が難しくなった社員にも、勤務時間を短くして継続する提案ができます。本人の経験や社内外との関係を活かしながら、会社とのつながりを保てます。
業務委託も、専門性を活かして仕事を進める大切な選択肢です。そのうえで、社員として継続的に関わってもらいたい仕事には、短時間正社員という雇用の形も検討できます。単に人件費を減らすのではなく、必要な仕事と、その人が力を発揮できる時間を合わせることが大切です。
導入するときは、仕事と待遇をセットで考えましょう
まず整理したいのは、「何曜日に来てもらうか」だけではなく、「どの仕事を任せるか」です。限られた時間で担当できる業務量、判断できる範囲、不在日の引き継ぎ、情報共有の方法まで考えることで、本人も周囲の社員も働きやすくなります。
あわせて、給与・賞与・評価の基準、勤務日数や時間、社会保険の取扱いを確認し、雇用契約や就業規則等に反映します。既存の社員が短時間勤務へ移る場合は、本人の希望を確認し、収入や待遇の変化を十分に説明して進めることが必要です。
社会保険労務士・人事労務担当者の方へ
短時間正社員の導入をご検討の際は、一般の短時間労働者に対する適用基準とあわせて、短時間正社員に関する通知をご確認ください。「週20時間未満」「4分の3未満」という時間・日数の情報だけで結論を出すのではなく、契約期間、給与等の基準、職務内容、就労実態を確認することが大切です。
健康保険に関する通知
平成21年6月30日付・保保発第0630001号
「短時間正社員に係る健康保険の適用について」
厚生労働省の通知原文を確認する
厚生年金保険・健康保険に関する通知
平成21年6月30日付・庁保険発第0630001号
「短時間正社員に係る厚生年金保険及び健康保険の適用について」
これらの通知もあわせて確認し、個別の適用判断や手続きを進めてください。判断が難しい場合は、規程や雇用契約、就労実態がわかる資料をそろえ、年金事務所や加入先の保険者に確認しましょう。
働く時間が短くても、力を発揮できる社会へ
働きたい気持ちも、経験も、能力もある。それでも、週5日・フルタイムという条件が合わず、仕事をあきらめてしまう。一方で企業には、人の力を必要としながら、フルタイムでの採用に踏み出せないことがあります。
その間をつなぐ選択肢が、週2正社員です。地域の中で、これまで活かしきれなかった経験や専門性が仕事につながれば、働く人だけでなく、企業や地域にも可能性が広がります。移住やUターンを考える人にとっても、地域の企業とのつながりを持ちながら、新しい暮らしや仕事に取り組む選択肢になります。
働く時間の長さだけでなく、その人が発揮できる力から、働き方を考える。
一般社団法人中小企業事業推進機構は、週2正社員・短時間正社員という選択肢を通じて、働く人と企業の双方に合った働き方・雇い方を広げていきます。
