ふたたび園庭の未来へ 週2だから見えるもの|第10話 保育士編

ふたたび園庭の未来へ|第10話

── 週2だから見えるもの

保護者の不安、現場の不安。

その声に向き合いながら、亜紀と陽菜は「毎日いること」だけではない保育の形に気づいていきます。

第10話 週2だから見えるもの

「保護者の不安、わかってたつもりだったけど……実際に目の前で言われると重たいね。」

夕方の会議室。

園長の美穂は、机に置いたメモ帳をそっと閉じた。

向かいには、キャリアコンサルタントの池元南と、社会保険労務士の津森真彦が座っている。

「新しい制度は、説明しすぎるくらいがちょうどいいです。」

池元は静かに言った。

「週2だからこそ、役割を明確にする。“どこまで見るか、どこを引き継ぐか”を具体的に保護者にも伝えましょう。」

津森が資料をめくりながら補足する。

「職員側にも、“週2だから無責任”という誤解が生まれないようにする必要があります。」

「週5勤務と同じ責任ではなく、役割で責任を持つ。そこを形にしないと、制度だけが浮いてしまいます。」

美穂は深くうなずいた。

「誰のための制度かを、もう一度ちゃんと説明しなきゃね。」

一方その頃、園庭のベンチでは、陽菜と亜紀が子どもたちを見守っていた。

夕方の光が、砂場とブランコをやわらかく照らしている。

「さっきの保護者の声、私も少しわかります。」

陽菜がぽつりと言った。

「毎日いる先生のほうが安心って、私もずっと思ってました。」

亜紀は何も言わず、子どもたちの方を見ていた。

「でも……石井先生がひまりちゃんのことに気づいたとき、“毎日いるから気づける”とは限らないんだなって思ったんです。」

亜紀は少しだけ笑って、うなずいた。

「週2だから、余裕が残るときもあるのかもね。」

小さな手がブランコをこぐたびに、風がふわりとふたりの横を抜けていった。

「全部を抱えなくても、ちゃんと誰かに届くんですね。」

陽菜の言葉に、亜紀はもう一度うなずいた。

「そうだね。週2だからこそ、見えるものがあるのかも。」

次回 第11話

卒園準備の中で、亜紀は子どもから思いがけない言葉をかけられます。

「来年も先生いる?」その一言が、亜紀の胸を静かに揺らします。