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── 週2だから見えるもの
保護者の不安、現場の不安。
その声に向き合いながら、亜紀と陽菜は「毎日いること」だけではない保育の形に気づいていきます。
「保護者の不安、わかってたつもりだったけど……実際に目の前で言われると重たいね。」
夕方の会議室。
園長の美穂は、机に置いたメモ帳をそっと閉じた。
向かいには、キャリアコンサルタントの池元南と、社会保険労務士の津森真彦が座っている。
「新しい制度は、説明しすぎるくらいがちょうどいいです。」
池元は静かに言った。
「週2だからこそ、役割を明確にする。“どこまで見るか、どこを引き継ぐか”を具体的に保護者にも伝えましょう。」
津森が資料をめくりながら補足する。
「職員側にも、“週2だから無責任”という誤解が生まれないようにする必要があります。」
「週5勤務と同じ責任ではなく、役割で責任を持つ。そこを形にしないと、制度だけが浮いてしまいます。」
美穂は深くうなずいた。
「誰のための制度かを、もう一度ちゃんと説明しなきゃね。」
一方その頃、園庭のベンチでは、陽菜と亜紀が子どもたちを見守っていた。
夕方の光が、砂場とブランコをやわらかく照らしている。
「さっきの保護者の声、私も少しわかります。」
陽菜がぽつりと言った。
「毎日いる先生のほうが安心って、私もずっと思ってました。」
亜紀は何も言わず、子どもたちの方を見ていた。
「でも……石井先生がひまりちゃんのことに気づいたとき、“毎日いるから気づける”とは限らないんだなって思ったんです。」
亜紀は少しだけ笑って、うなずいた。
「週2だから、余裕が残るときもあるのかもね。」
小さな手がブランコをこぐたびに、風がふわりとふたりの横を抜けていった。
「全部を抱えなくても、ちゃんと誰かに届くんですね。」
陽菜の言葉に、亜紀はもう一度うなずいた。
「そうだね。週2だからこそ、見えるものがあるのかも。」
卒園準備の中で、亜紀は子どもから思いがけない言葉をかけられます。
「来年も先生いる?」その一言が、亜紀の胸を静かに揺らします。