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── 保護者の声
週2勤務という新しい働き方は、保育士だけでなく保護者にも戸惑いを生んでいました。
子どもたちの安心と、新しい働き方。その両立への挑戦が始まります。
「園長先生、ちょっといいですか?」
午後の降園時間。
玄関ホールで子どもを迎えに来た母親が、高梨美穂に声をかけた。
隣にはランドセルを背負った弟が、小さな手で母親の服をつかんでいる。
「いつもありがとうございます。どうしましたか?」
美穂は穏やかに微笑んだ。
母親は少し言葉を探すように目を伏せる。
「……あの、新しく入った石井先生って、週に2日だけなんですよね。」
後ろで順番を待つ保護者たちも、何となく会話に耳を傾けていた。
「うちの子、人見知りが強くて……先生が変わると不安なんです。」
美穂は静かにうなずいた。
「そのお気持ちは、よく分かります。」
少し間を置いてから続ける。
「石井先生は週2勤務ですが、一人で保育をしているわけではありません。」
「毎日の様子は先生同士でしっかり共有しています。誰が担当の日でも、お子さんのことをみんなで見守っています。」
母親は少し安心したように息をついた。
それでも、美穂の胸には小さな痛みが残る。
保護者の安心と、新しい働き方。
その二つを両立させることは、言葉だけでは伝えきれない難しさがあった。
そのころ園庭では、陽菜が他の保育士と話していた。
「結局、何かあったときに責任を取るのは誰なんでしょう。」
「週2の先生は、その日いなかったら対応できませんよね……。」
誰かを責めているわけではない。
現場だからこその、率直な不安だった。
少し離れた場所で、その会話を亜紀は静かに聞いていた。
――やっぱり、みんな不安なんだ。
保護者だけではない。
一緒に働く先生たちも、不安を抱えながら毎日子どもたちと向き合っている。
迎えに来た保護者たちの視線が、一瞬だけ自分に向く。
「……大丈夫かな。」
手にしていた連絡帳を、亜紀はそっと閉じた。
責任を手放したいわけじゃない。
でも、全部を一人で抱える働き方でもない。
その違いを、どう伝えればいいのだろう。
答えはまだ見つからない。
それでも亜紀は、小さく息を吸い込み、もう一度園庭へ目を向けた。
「毎日いなくても、見えることがある。」
亜紀と陽菜、それぞれの働き方を語り合うことで、新しい答えが少しずつ見え始めます。