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── 小さな気づき
週2勤務を始めた亜紀は、ひまりの小さな変化に気づきます。
その気づきが、少しずつ現場の空気を変えていきます。
「ひまりちゃん、今日ちょっと元気ない?」
お昼前の教室。
窓から差し込むやわらかな陽ざしの中で、子どもたちは思い思いにお絵かきをしていた。
亜紀は、ひまりの後ろにそっとしゃがみ込む。
白い画用紙に並ぶクレヨン。
昨日まで明るい色ばかりだったその絵に、今日は灰色や茶色が増えていた。
「先生、すごいですね。」
隣で見ていた陽菜が、小さくつぶやく。
「私、全然気づきませんでした。」
昨日から園庭の掃除、お昼寝の準備、連絡帳。
やることが重なり、みんな余裕がなくなっていた。
「ひまりちゃん、お腹すいた?」
亜紀がやさしく声をかける。
ひまりは首を横に振った。
でも、その目には小さく涙がにじんでいた。
「昨日、おうちで何かあったのかな……。」
陽菜が心配そうにつぶやく。
「大丈夫。」
亜紀は穏やかに笑った。
「ご飯のとき、私が隣に座ってみるから。」
その一言に、陽菜は少し驚いたように笑う。
「……週2でも、ちゃんと見てるんですね。」
亜紀も笑った。
「毎日じゃなくても、見てるよ。」
子どもの変化は、勤務日数ではなく、向き合う時間の中にある。
ひまりの小さな手をそっと握りながら、亜紀はもう一度、自分がここで「先生」でいられることを確かめていた。
そのとき、廊下の向こうから保育士たちの小さな声が聞こえてくる。
「……でもさ、保護者はどう思ってるんだろうね。」
その言葉に、亜紀は静かに顔を上げた。
次に向き合う相手は、子どもではなく、保護者だった。
「週2の先生で大丈夫ですか?」
保護者からの不安の声に、高梨園長が向き合います。