── 週2でできること?
亜紀が週2・週3で戻るかもしれない。
その話を聞いた若手保育士の陽菜は、現場の立場から率直な不安を口にします。
「石井さんが戻ってくるって本当ですか?」
午後の休憩室。
お茶を淹れながら、若手保育士の古賀陽菜がぽつりと切り出した。
高梨園長がいないところで、少しだけ遠慮をなくした顔だ。
「まだ“戻る”って決めたわけじゃないんだけど……。」
亜紀は笑ってごまかした。
でも陽菜の眉は少しだけ寄ったままだ。
「週2とか週3とかって、聞きました。正直……大丈夫なのかなって。」
「何が?」
「だって……子どもたちは毎日園に来ます。先生は週2だけって、パートさんと同じじゃないですか?お迎えもお昼寝も、全部途中で人が入れ替わるのって……。」
陽菜の声は責めているわけじゃなく、純粋な戸惑いが混じっていた。
「私、フルタイムで働くのが当たり前だって思ってたから……。」
カップに注いだお茶の湯気が揺れる。
亜紀は何も言えずに、その揺れをじっと見ていた。
「子どもにとって、“いつもの先生”でいることって大事だと思ってて。」
陽菜の言葉が、心の奥にチクリと刺さる。
それは亜紀自身もずっと怖かったことだ。
そこへ、ちょうどドアが開いて園長の美穂が顔を出した。
「ごめんね、ふたりとも。ちょっといい?」
美穂は陽菜の隣に腰かけると、ゆっくりと笑った。
「週2って、ただのパートじゃないの。ちゃんと“正社員”として責任を持ってもらうつもり。」
陽菜が驚いたように目を見開いた。
——週2で、正社員?
次の言葉を探す前に、湯気の向こうで美穂の声が重なった。
「その話、ちゃんと説明するね。」
高梨園長は、キャリアコンサルタントの池元と社会保険労務士の津森に相談します。
週2・週3でも責任を持って働ける仕組みづくりが、少しずつ動き出します。