週2正社員の実践から
給料は5分の2。社会保険料はそのまま。――週2正社員にして気づいた「3か月の壁」
週5日のフルタイム正社員から週2正社員へ。働き方と給与は1か月目から変わりますが、社会保険料の計算に使われる標準報酬月額は、原則として4か月目から改定されます。実際に制度を運用したからこそ見えてきた課題を紹介します。

正社員のまま、人生に合わせて働く
私たちは、多様な働き方の一つとして「週2正社員」を提案しています。パートやアルバイトへ雇用形態を変えるのではなく、正社員として会社との関係を継続しながら、所定労働時間を短くする「短時間正社員」という働き方です。
子育てや介護、健康状態、学び直し、副業、地域活動など、ライフステージの変化によって週5日勤務が難しくなることがあります。「週5日働けないなら退職」ではなく、週4日、週3日、週2日と働き方を変えながら、経験を生かして働き続けられる環境づくりを目指しています。
実践して見えた、社会保険料の時間差
固定的賃金が大幅に変動した場合、変更後3か月間の報酬を確認し、一定の要件を満たすと4か月目から標準報酬月額が改定されます。これは日本年金機構の「随時改定」という仕組みです。
給与と働き方はすぐに変わっても、社会保険料は以前の働き方を基にした金額が3か月間続きます。この時間差が、週2正社員へ移行する際の大きな負担になることが分かりました。
月給50万円から20万円へ変更した場合
福岡県の協会けんぽに加入する40歳未満の方について、標準報酬月額50万円から20万円へ変更するケースを、2026年度の料率で単純計算します。
| 変更後の月給 | 200,000円 |
|---|---|
| 旧基準による本人負担 | 約71,600円 |
| 新基準による本人負担 | 約28,640円 |
| 1か月当たりの差 | 約42,960円 |
最初の3か月間は、月給20万円から約7万1,600円の社会保険料が控除されます。さらに、前年の所得を基に計算される住民税が加わります。前年の年収が約800万円で、住民税が月3万円台後半となるケースでは、手元に残る金額が10万円を下回る可能性があります。
実際の保険料や住民税は、年齢、加入先、扶養、各種控除、会社の給与計算方法などにより異なります。給与がさらに低い場合や社内控除がある場合には、給与から控除しきれない可能性もあります。
短時間正社員も社会保険の対象になります
平成21年6月30日付の厚生労働省通知では、労働契約、就業規則、給与規程などに短時間正社員の位置づけがあり、期間の定めのない労働契約を締結し、時間当たりの基本給や賞与・退職金等の算定方法が同種のフルタイム正社員と同等である場合などは、健康保険の被保険者として取り扱うことが示されています。
短時間正社員制度を導入する際は、名称だけでなく、就業規則や給与規程、実際の就労状況を制度に沿って整備することが重要です。
移行前の説明と試算が大切です
今回の事例は、「週2正社員をやめたほうがよい」という話ではありません。新しい働き方を実践したからこそ、制度との間にある課題が見えてきました。
企業は、移行後少なくとも4か月分の給与明細を試算し、社会保険料と住民税を含む手取りの見込みを本人へ説明する。本人も、移行直後の生活資金をあらかじめ確認する。制度を理解したうえで準備することが、安心して働き方を変える第一歩になります。
正社員とは、長時間働く人のことなのでしょうか。それとも、会社と未来を共有する仲間のことでしょうか。私たちは週2正社員を実践しながら、人生の変化に合わせて働き続けられる仕組みと、そこで見えてきた課題を発信していきます。
