週2正社員は高い? 計算してみたら話が変わった。 社会保険料だけで判断していませんか?採用費・教育費・離職コストまで含めて、本当のコストを考えてみましょう。


週2正社員は本当に高いのでしょうか。

社会保険料だけを見ると、会社の負担が増えるように感じるかもしれません。しかし、採用費、教育費、離職コスト、現場の疲弊まで含めて考えると、本当に高いのは何なのか、見え方が変わってきます。

特に介護や医療の現場は365日動いています。フルタイム正社員を1人採用しても、その人が働くのは週5日。最初から週2日分は誰かが埋めなければなりません。

パートは本当に安いのか?

週2正社員の話をすると、「社会保険料が高い」という声をよく聞きます。確かにパートと比べれば、短時間正社員には会社の社会保険負担が発生する場合があります。

しかし、本当に比較する相手は「パートの時給」だけでよいのでしょうか。今の介護業界や医療業界で、パート募集を出しても応募が来ない、採用できてもすぐ辞めてしまうという話は珍しくありません。

そのたびに求人を出し、面接を行い、教育を行い、ようやく仕事を覚えた頃にまた退職される。これは採用費だけの問題ではありません。教育する先輩職員の時間、現場の負担、利用者さんや患者さんとの信頼関係の作り直しも含めて、すべて経営コストです。

パートと短時間正社員の比較

項目 パート 短時間正社員
会社負担 社会保険料が少なく見える場合がある 社会保険料の会社負担が発生する場合がある
採用 応募が集まりにくいことがある 「正社員なら働きたい」層に届く可能性がある
定着 条件次第で離職しやすい場合がある 組織の一員としての意識が生まれやすい
教育コスト 離職が続くと繰り返し発生する 定着すれば教育コストを抑えやすい
会社からのメッセージ 時給労働として受け取られやすい 「大切な人材として迎えている」と伝わりやすい

社会保険料は見えるコストです。 しかし、採用できないコスト、辞められるコスト、教育を繰り返すコストは見えにくいものです。見えている負担だけで判断すると、本当の経営コストを見誤る可能性があります。

試しに計算してみる

例えば、時給1,500円、1日5時間、週3日勤務の短時間正社員を考えてみます。

5時間 × 週3日 × 4.3週 = 月約65時間

65時間 × 1,500円 = 月給97,500円

会社負担の社会保険料を約16%とすると、

97,500円 × 16% = 月15,600円

年間では約187,000円です。

つまり、会社が負担する社会保険料は年間約19万円です。では、1人が辞めた場合の離職コストはいくらになるでしょうか。

求人掲載費 50,000円

面接・採用対応 30,000円

教育・OJT 100,000円

引き継ぎや現場負担 50,000円

合計 約230,000円

もちろん会社によって金額は違います。もっと高くなる場合もあるでしょう。しかし、年間約19万円の社会保険料を惜しんだ結果、それ以上の離職コストを何度も支払っている可能性もあります。

フルタイム1人と週2+週3の違い

週2正社員は、フルタイム正社員の代わりだけではありません。フルタイム正社員1人分の仕事を、週2正社員と週3正社員の2人で担うという考え方もできます。

仕事量は同じ5日分です。給与総額も大きくは変わりません。社会保険料も給与に比例するため、大きな差は出にくいでしょう。しかし、大きく違うのはリスクです。

項目 フルタイム正社員1人 週2正社員+週3正社員
担当できる日数 週5日 週5日
給与総額 1人分 2人合計でほぼ同等に設計可能
社会保険料 給与に比例して発生 給与に比例して発生
退職時の影響 5日分の戦力を一気に失う どちらかが辞めても全部は失わない
採用対象 週5日働ける人に限られる 週2日・週3日なら働ける人にも広がる

フルタイム正社員1人が辞めれば、5日分の戦力を一気に失います。しかし週2日と週3日の2人で支えていれば、どちらか1人が辞めても現場は動き続けます。これは人材不足の時代において、大きなリスク分散です。

医療や介護は、そもそも週5日では足りない

ここが介護や医療の現場では特に大切です。病院や介護施設は365日動いています。利用者さんや患者さんの生活は、土日や祝日で止まりません。

つまり、フルタイム正社員を1人採用しても、その人が働くのは週5日です。最初から週2日分は足りません。誰かが土日を担当し、誰かが休みの日を埋めなければならないのです。

そう考えると、週2日働ける人、週3日働ける人がいることは、むしろ365日現場に合った働き方とも言えます。平日は子育てをしている看護師さんが土曜日だけ働く。定年後のベテラン介護士が週2日だけ現場に入る。親の介護をしながら週3日働く。そうした人たちが現場を支えることができます。

本当に不足しているのは人材なのか

潜在看護師、潜在介護士、潜在保育士。資格も経験もあるのに、今の働き方では働けない人たちはたくさんいます。

「フルタイムは無理だけど、週2日なら働ける」「週3日なら現場に戻れる」「パートなら働きたくないけれど、正社員として迎えてくれるなら働きたい」。そんな人たちを受け入れる仕組みがあれば、現場に戻ってこられる人は増えるのではないでしょうか。

人が足りないのではなく、
働ける形が足りないのかもしれません。

本当に高いのは何だろう

週2正社員は高い。そう言われることがあります。しかし、本当に高いのは何でしょうか。

社会保険料でしょうか。それとも、採用できないことでしょうか。離職が続くことでしょうか。教育を繰り返すことでしょうか。経験のある人材が現場に戻れないことでしょうか。

人口が減る時代です。これから先、人材確保はさらに難しくなります。だからこそ、「どうやって人を集めるか」ではなく、「どうやって働ける人を増やすか」を考える必要があります。

週2正社員は、コストではなく選択肢です

週2正社員は単なる時短勤務ではありません。眠っている経験や資格を、もう一度社会につなぐための仕組みです。見えている社会保険料だけでなく、見えていない採用費・教育費・離職コストまで含めて、一度電卓を叩いてみる価値はあると思います。

※上記の試算は考え方を説明するための一例です。実際の社会保険料や人件費は、賃金、勤務時間、地域、事業所の制度、加入条件などによって異なります。

パートと週2・週3正社員を比較してみる

項目 パート 週2・週3正社員
応募者数 集まりにくい傾向 増える可能性がある
定着率 条件次第で離職しやすい 長く働く可能性が高まる
社会保険 加入しない場合もある 加入対象になりやすい
採用コスト 離職のたびに発生 定着すれば抑えられる
教育コスト 繰り返し発生しやすい 長期的に回収しやすい
組織への帰属意識 個人差が大きい 高まりやすい
人材確保 年々難しくなっている 潜在人材を採用対象にできる
会社からのメッセージ 働き手として雇う 仲間として迎える